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2016/04/29
三浦 香(ミュージカル版脚本・演出)×吉村 愛(アニメ版監督)ロングインタビュー公開!
実は稽古3日目に行われていた三浦香さん(ミュージカル版脚本・演出)と吉村愛さん(アニメ版監督)のロングインタビューを大公開!
こちらを読んでから本編をご覧いただくと、よりお楽しみいただけること間違いなし!!
好評配信中!→http://dwd-stage.com/news/detail.php?id=1034569
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吉村 愛(以下 吉村):アニメ版監督の吉村です。よろしくお願いします。
三浦 香(以下 三浦):舞台版脚本・演出の三浦です。よろしくお願いします。緊張しています・・・・・・。
吉村:(笑)
―― お二人は本日初対面なんですね。
吉村:そうなんです!初対面なんです。
別の共通のスタッフが先に三浦さんにお会いしていて、結構ファンキーな方だとお聞きしていて・・・・・・。
三浦:そうかも知れないです!
吉村:「ファンキーな吉村監督ときっと気が合いますよ!」と紹介してもらって、ぜひお会いしたかったんです。
きっと、とても大好きになると思っています!
―― 今回、「Dance with Devils」(以降「ダンデビ」)の舞台化が決定し、三浦さんが脚本・演出のご担当に抜擢されたんですよね。アニメ版を観てどのような印象を受けられましたか?
三浦:舞台より先にアニメでミュージカルが作られているという、順番が入れ替わっている感じが新鮮でした。曲調もいわゆるオーケストラではなく、ロックな感じの物もあったり、盛りだくさんで面白かったです。
アニメの内容ももちろんなのですが、「ここは舞台でこうしよう!」と、舞台での演出をリンクして考えるのも本当に楽しい作品だと思いました。
―― 稽古3日目の雰囲気はいかがですか?
三浦:まだ始まったばかりなのですが、キャスト全員がアニメのキャラクターのイメージをしっかり持っています。
生身の人間同士ならではの難しい部分ではあるのですが、アニメ版で声優さんが出されるテンポ感と、舞台上で実際に動きながら話すものとは少し息が違って来るので、まずは会話シーンを徹底して、テンポ感を掴むようにしてもらっています。
―― キャスト同士でも、キャラクターを膨らませているんですね。
三浦:そうですね。今回は初めて演出する方が多いので、今はそれぞれの中で各キャラクターを膨らませてもらっている段階です。舞台版のオリジナルキャラクターについては、先に演出をつけて考えてもらっています。
―― お客様もお気に入りのキャラクターがいらっしゃる場合が多いですし、大切にしたい部分ですよね。
三浦:そうなんです。
声を似せると言うことではなく、気持ちの部分でよりキャラクターに近くなるよう、キャストには頑張ってもらっています。「気高くあれ、レム!」みたいな。なので、キャストは大変だと思います(笑)稽古初日の顔合わせでも、自分にも品が無いのはさて置いて、「品が無い人はいりません!」と伝えさせていただきました(笑)
あとはショーアップに注力しています。普通のミュージカルだともっと曲数が少ないことが多いのですが、今回はかなり曲数も多いので・・・・・・。
吉村:多いんですね!
三浦:そうなんです。アンサンブル達は大変です。
今(稽古3日目の段階では)、アンサンブル達には練習用強化メニューとして、「この歌詞を自分ならどう踊るか」と、歌詞の意味を考えた上で、本番用の振り付けとは別で各自オリジナルの振り付けを作って、その“絶対に本番で踊らない振り”を練習させると言う、鬼訓練をしてもらっています。
ミュージカルアニメと言う新しいジャンルの舞台化ですし、お客様もイメージを持っていらっしゃると思うので、ダンスはミュージカルの骨頂として、盛り上げて行きたいですね。いつも踊りがあると鬼になっちゃうんです・・・・・・。
吉村:(笑)
―― 吉村監督は元々ミュージカルがお好きで、アニメ版「ダンデビ」を“ミュージカルアニメ”にすると言うアイディアも監督が発端だったんですよね。
吉村:そうなんです。以前からアニメーションの中でミュージカルをやってみたかったんです。最初に「ダンデビ」のお話をいただいた時、企画の段階で、展開の視野の中のひとつにミュージカルもあったんです。「じゃあそのまま実現しちゃえばいいじゃん!」と思い立った所から、ミュージカルアニメとしての「ダンデビ」が始まりました。時期的に「アナと雪の女王」のヒットもありましたし、「まだ30分枠のアニメでミュージカルって無いな」と思って。
音楽物のアニメは結構あったのですが、ミュージカルになっている物は無い。「やるなら今しかない!」と、身を前に乗り出しました(笑)ちょうど同じタイミングでミュージカルアニメが他に何本か動いていると言うお話も耳に入って来て、「早くやらねば!」と言う勢いで動いていましたね。
―― そうだったんですね。アニメーションでミュージカルを再現するにあたり、特に注意や工夫をした点はありましたか?
吉村:私自身はミュージカル好きなんですけど、同じくお芝居を観に行かれる方でも、ミュージカルに関しては好きな子もいれば苦手な子もいるというイメージがありました。なので、「どうやって苦手な子にも観てもらおう」と考えていました。
個人的にはオーケストラを使用したミュージカルも大好きなのですが、「ダンデビ」の場合は「エリザベート」のようなビッグミュージックの“本格ミュージカル”と“2.5次元ミュージカル”の間を行ったり来たりするのがイメージに近いのかな、と思い、練り込んでいきました。
2.5次元ミュージカルは題材がゲームやアニメが主だと言う事もあって、アニメファンにとって魅力的なキャラクターが沢山出てくる作品が多いなと感じていて、この作品もそんな風にミュージカルを好きになるキッカケになってくれたらいいな、と考えていました。
楽曲も、仰々しいミュージカル曲と言うよりは、2.5次元感のあるキャッチーな方が近いかと思い、そのイメージで楽曲を作っていただきました。なので、2.5次元ミュージカルに触れた事のある方であれば、馴染み深い曲調かな、と思います。
三浦:そうですね!
吉村:映像側の演出は、舞台の表現をそのままアニメで再現するのが難しい部分もあるのですが、「逆に舞台では出来ない事をやってやろう!」と考えながら作りました。
―― 三浦さんは今まで、正にその“2.5次元ミュージカル”を手掛けていらっしゃったんですよね。今回“ミュージカルアニメ”を舞台化される際、特にこだわった点などあればぜひ教えてください。
三浦:まだ稽古3日目で膨らませている最中なのですが、今回の作品と今まで担当させていただいた2.5次元ミュージカルとの大きな差は、原作が漫画ではない事でした。
原作が漫画の場合は、読み進めて、コマ割りや間、キャラクターの描き方で作者の意図を汲み取り、そこを目指して表現していくんです。今回はミュージカルアニメが元なので、既にシーンが完成されていて更に歌もあるので、例えばレムの顔がアップになるシーンの迫力!などを読み取り、その迫力をどう舞台で表現するか考えていました。メィジが車でドライブしていたシーンから中華料理屋に移動したりとか、舞台だったらどうやって表現しよう、と考えたり(笑)
一番印象に残っているのは第三図書館で、サーチライトの演出を見て、「これは舞台っぽいぞ!」と思ったんです。これが舞台で出来たらお客さんも「おおっ!」と感じてくれるかなあ!と。
暗転の中、突然サーチライトが動き出して「なんだろう!」と思ったら、あの格好良い人たちがパパパッと登場する・・・・・・その感覚を絶対再現したい!と意気込んでいます!
吉村:楽しい!面白そうですね。
三浦:(アニメの演出を)全て忠実に再現するのは難しい部分もあるのですが、疾走感がある場面は、舞台でもその疾走感を大事に表現したいです。
―― ローエンが犬から人型に切り替わる、など、舞台版ではどうなるんだろう!と言う部分も楽しみですね。
吉村:わ!犬も登場するんですか!楽しみ!
三浦:脚本でも、アニメ版通りに「ローエンに変わる」と書いてから、自分で「・・・・・・どうするんだろう?」と思うんですけど、そういう脚本を先に書いておいた方が良い案が出るので。自分に優しく脚本を書いてしまうとつまらなくなってしまうので、無理なことを書いておいた方がいいなと。
自分に甘く、脚本に「(いい所で暗転)」と書いてしまったりしたのですが、そうすると突然スピード感が無くなってしまうんです。
後になって稽古で実践する時に、「誰だよコレ書いたの!」と思わず言ってしまい、「アンタだよ!」と演出助手からツッコまれたり・・・・・・。
吉村:(笑)
三浦:なので、この場面は舞台では再現出来ないだろうな、というところにもチャレンジして、新しく舞台版を作り上げて行きたいと考えています。
―― 今回の舞台の脚本は、アニメの脚本を見ながらに書かれたのですか?
三浦:そうです!上手く舞台らしさを出しつつ、アニメのシーンを再現出来るように頑張ります。
今回の舞台では、リツカは主役ではあるのですが、しゃべるリツカとしては登場しない作り方をさせていただきました。そこを上手く見せて行ければと考えています。
―― お客様にリツカの気分を味わっていただく感じになるんですね。
三浦:そう考えています!リツカはモチーフとしては舞台に登場するのですが、やっぱりみんな彼らに「好きだ」と言ってもらいたいよね!と言う思いからそのようにさせていただきました。
吉村:そうなんですね!楽しみです!
―― 今回は舞台終了後のカーテンコールが、通常のトークではなく“ミニコンサート”になるとの情報をお聞きしたのですが・・・・・・
吉村:すごい!
三浦:そうなんですよ!これは私が決めたアイディアではないのですが、そうなんです。本編もかなりの曲数があるのにまだ歌ってくれるんです!日替わりでキャストが歌ってくれます。
吉村:わああ!
以前別の作品のミュージカルを観に行った時、舞台が終わった後にライブを観せてくれた作品があってすごく面白かったんですよ。お客さんもペンライトを振ったりして。お話も観られて、ライブも観られて、2度おいしいって感じでした。
三浦:ミニコンサートは、わたしもキャストも客席から見たいと思っています(笑)
ダンスやアクション、照明も、優秀なスタッフが豪華にしてくれると信じています。
―― 楽曲も、発注はどのようにされていたのだろうと思うくらい、各キャラクター毎にまったく雰囲気もジャンルも違うキャラクターソングがありますね。
吉村:楽曲の発注については、以前、2.5次元ミュージカル作品を観劇させていただいた時に、色々な曲調の楽曲が登場した事が印象深かったので、「ダンデビ」でも楽曲でもそれぞれのキャラクターの個性を出すために曲調が絶対に似ないよう変えたいと思い、今回のようになりました。
王子様キャラだったり、オレ様キャラだったり、エロチックな人だったり、振り分けて行く中で各キャラクターの色もすごく違ってきて、この子はロックにしよう、この子はラップ、妖艶だからフラメンコチックにしよう、と。
シキは演歌にしたいな、なんて思ったこともありました。キャラソンで演歌ってあまり聴いたことないですよね(笑)
三浦:自分も2.5次元ミュージカル作品に携わって来たので、各キャラクターにはテーマソングがある事がとても自然な感覚でした。舞台を制作する時、自分が担当する作業も「このキャラクターはこう言う曲調で」と振って行くのは同じなので、その部分は似ているのかもしれませんね!
―― そうですよね。舞台を制作される時は、通常であれば三浦さんが楽曲を発注されているんですよね。
三浦:「発注しなくていいんだ!」と思いました(笑)
今回みたいに先に曲が準備してあるのは珍しいことなんです。最初は曲が無いので、吉村監督と同じように発注していくんですけど、演歌までは流石にやったことが無かったです(笑)
吉村:知り合いに2.5次元ミュージカルがすごく好きな子がいて、カラオケに行くと歌ってくれるんですよ。好きな作品の歌を一通り歌ってくれて、その中に演歌もあったりして、それもしっかり歌っていて。
「いや~、好きな人に響いたらこんなに幸せなことになるのか」と思いました。
自分自身が楽しみたい気持ちもあるんですけど、色んな曲を楽しんでもらいたいと感じました。
三浦:バランスですよね。全部同じ曲調が続くとお客様を飽きさせてしまったりして。今回の舞台には途中でメドレーも登場するのですが、その順番も、あまり似た物が続かないようにすることを大事にして、お客さんが盛り上がる曲を、最後のひとつ前にしたりして、最後は主役がキメるとか、セットリストで上手くメリハリをつけられるように気をつかっています。
今も稽古中に実際に当ててみて、途中で順番を変更したりしています。アンサンブルが登場する人数のバランスも見たりとか。
―― 本当にバラエティ豊かな曲調ですよね。
三浦:助かりました。「このキャラクターはこう言う雰囲気なのか」と、とても印象に残りました。
曲を聴きながら脚本を書くのですが、“VANQUISH”でオレ様の気分になりながら、とか、“誘惑♡amor”はウリエの気持ちになりながら、とか。分かりやすくて、舞台でもお客様にも伝わり易くてありがたいな、と思いました。
制作P:曲調は、吉村監督がとてもこだわって発注されてましたね。
吉村:そうですね。音楽に詳しいと言うわけではないので、注文させていただいた曲が届いてから、「いい曲上がって来た!」と感動しながらも、「頭の中のフラメンコとちょっと違った」とか「この曲とこの曲が少し似ている気がする」とか、思い描いていた物と印象に差があったら随時お伝えして、それを制作スタッフさんがさらに上手く言葉にしてElements Gardenの藤田さん(音楽プロデューサー)に伝えてくれていましたね。
普通にアニメを制作している時はこんな作業は入らないので、とても楽しかったです。楽曲に関わったとしても劇伴(BGM)位なので。劇伴も通常40~50曲位使うのですが、その曲数も大体「このシーンで使用します」と言うシチュエーションをお伝えしてざっくりとした雰囲気を発注することが多いんです。
監督によっては細かく指示を出される方もいらっしゃるのですが、私の場合は曲数も多いので1曲1曲こだわって発注するというより作品の世界観として発注させていただいて、楽曲のメニューを書いて発注してくださる音響監督さんが1曲1曲のバランスを上手い具合に調整してくださって詰めてくださることが多いです。なのでここまで直にやり取りさせていただくことはないので、とても面白かったです。
三浦:その劇伴達を稽古で早速使用させていただいています。発注の苦労をお掛けしてすみません、と思いながら・・・・・・。
歌に関してはピアノも使用して歌唱を強化してもらったりしています。
今日もアクションシーンから稽古したのですが、芝居をして、ダンスをして、歌、というフルメニューでした。
―― アニメだと1曲1曲がプロモーションビデオ(PV)のようになっていましたね。
三浦:PVがついているのは新しいと思いました。画面がパッパッと切り替わるので、ミュージカルだと全てその通りに再現するというわけにはいかないのですが。
吉村:「アナと雪の女王」の様な物が正当なミュージカルムービーだと思うのですが、30分アニメの場合はまた少し作り方が違ってきますので、同じようには出来ない部分が出て来ました。踊りも尺も制限があるので、その中でどう活かすか考えて、PVのような、ドラマ仕立てのミュージッククリップや、NHKの「みんなのうた」のようなお話に沿って映像を制作している作品をイメージしつつ、ダンサブルなカットチェンジにしてみるなど、映像を制作していきました。
―― 舞台だと、楽曲のシーンはメインキャラクター以外にもアンサンブルが登場されると思いますが、フラメンコやHiphopなど、曲調や楽曲のジャンルによってダンスのジャンルも変えていらっしゃるのでしょうか?
三浦:そうなんです!なのでアンサンブルも各ジャンルの担当の方がいらっしゃっています。
吉村:すごい!
三浦:アニメ版にはバックダンサーは登場しないので、舞台版ではアンサンブルが登場する事に対する意味付けも必要で。ヴァンパイアが踊るとしても、突然踊りだしたらよく分からないので、そこに意味をつけたり。
でも、シキに関しては、きっと1人で黙々と歌っていた方がいいんだろうな・・・・・・と思っています。光が差していて、その中で歌っている、みたいな(笑)イメージがしやすいので、助かっています。
制作P:偶然なのですが、年末のアニメ版のスペシャルコンサートでも完全に同じ形で、シキだけ1人でマイクで歌っていました。スモークが出ていて・・・・・・。
三浦:やっぱり(笑)
そこのイメージは変に捻らず、ドーンと行くのが「ダンデビ」らしくなるんじゃないかな?と思っています。本編後のミニコンサートでは、ちょっと遊んでもいいのかな?とは考えています。普段は見ることのないコラボレーションだったりとか。
吉村:楽しそう!
三浦:舞台も大きいので、活用していきたいと考えています。
―― アニメの監督に舞台の脚本・演出と、お互いのお仕事や進め方に共通点もありそうですね。
三浦:きっとあると思います!
仕事の仕方はもしかして似ているかも知れませんね。どうやって演出されているかはとても興味があります。
吉村:私も知りたいです!
三浦:私は生身の人間を前に演出していくので、相手の反応も確認しながら演出していくのですが、アニメだと声優さんは、動きも表情も既についているので、声のみで演技しなきゃならないし、監督と声優さんも録音する部屋と壁を挟んでいるので大変そうだなと思っていました。
吉村:アフレコの部分では、音響監督さんが間に入ってくれているので、うまく監督と声優さんのキャッチボールをしてくれるんです。なので、声優さんに一度テストで演技をしていただいて、画と雰囲気や表現の方向性に差があった場合はキャラクターの感情などリクエストをお伝えして、音響監督さんがうまく役者さんの引き出しを開けるお手伝いをしてくださっています。
アニメだと関わってくださる方が多いので、私はとても助かっています。
監督さんによっては全てご自身で担当される方もいらっしゃるのですが、私は自分で上手く説明しようとなると、伝えるために考え込んでしまうので、間に入ってくださる方にどんどん思いや雰囲気を説明させていただいて、頭の中のふわっとしたイメージを、もっとシャキッとさせて、それを伝えていただくと言うやり取りがすごく合っているので、とてもありがたいです。
―― 監督の頭の中のイメージをお伝えして、アフレコ現場で一緒にキャラクターを作り上げて行く感じでしょうか?
吉村:そうですね。頭の中のイメージもあるのですが、アニメの画が既にある場合が多いので、どちらかと言うとその画に合わせて近付けてもらう、と言う方が正しいかも知れません。
―― キャラクターソングの収録の際も、すでに画のイメージがあって、吉村監督が細かくご説明されていらっしゃいましたよね。
吉村:「シキは這い上がってくる様な感じで」とかでしたね。
三浦:そうなんですよね。もう、演出と言うのは"訳の分からない事を言う係"なんですよね。「何かヌルっとした感じでさー」とか・・・・・・それを解釈される方が優秀である事を願いつつ・・・・・・。
どうでもいい話で申し訳無いんですけど、私、昔4年間だけ声優をやっていた事があって・・・・・・。
吉村:えっ!そうなんですか!?
三浦:なので、現場に入っていた頃は監督がネスタ様の様に見えていました。監督は直でお話せず、ジェキみたいに音響監督の方がいて、その方とお話しするのですが、きっとネスタ様にはすごく言われているんだろうな・・・・・・と思っていました。
吉村:(笑)実際、結構言われる方もいらっしゃいますが、全く言われない方もいらっしゃいますよ。でも、ブース内のやり取りが聞こえないので、気にする役者さんは気にしちゃうかも知れませんね。
三浦:もう、あの部屋が怖くて!思い起こせば監督とお話するより、音響監督と話していました。
吉村:確かに、オーディションの時に結構熟考して役者さんを選ばせていただいているのに、その理由をお伝えさせていただく機会は余り無かったりするので、そう思われる事もあるかも知れないですね。
「ダンデビ」では、役者さんや音響監督さんと仲良くさせていただいているのですが、触れ合う機会の多いメインキャラクター以外の方とは、確かにそこまでお話する機会が無かったので、結構恐いイメージを持たれているのかな?と思うこともあります。
三浦:ネスタ様の仰せのままに、です。
―― 舞台では演出家と役者のダイレクトなやり取りなんですね。
三浦:そうですね。
でも、さっきも吉村監督がおっしゃっていた様に、私も説明すると言うよりは、思った事が先に口にポーンと出てしまうので、そこは似ているタイプなのかなと思いました(笑)段々バイブス見付けて来ました!
吉村:(笑)
三浦:自分が言われる立場だと、そっちの方が分かり易く感じるので……理論で言われると逆にパニックになってしまって、ドーンとかボーンとか伝えてもらった方が有り難いのでそれを実践しちゃっているのですが、役者さんによっては意味が分からなくてポカーンとしちゃいますよね、きっと。
―― そこのバイブスは同じなのかも知れませんね!
三浦:はい!きっとアニメ版と似た物が出来上がるのでは無いかと、少し自信になりました。
―― 差が出るのは良くないかとは思いますが、三浦さんのお好きなキャラクターをお聞きしてもよろしいですか?やはり好みはあるかと思いますので!
三浦:私は意外で申し訳無いのですが、ジェキが大っ好きで……。
吉村:おおー!一番おいしい役ですよね。
三浦:カッコイイと思います!
ジェキの髪の色が気になっていて・・・・・・あれはピンク?緑?変わるんですか?
吉村:マスクをしている時は緑の髪の色が多くて、マスクを取ったら髪の色がピンクなんです。キャラクターデザインの前田さんいわく、内側の毛が緑色で、マスクをしているシーンでは緑色の毛を出していて、ピンク色に見える時は外側のピンク色の毛で、内側の緑色の毛を隠しているそうです。
ジェキの登場シーンを設定する時に、最初に「女性と見せかけるキャラクターとして登場させよう」と話していて、マスク着用時と外した時で違うキャラクターとして見せたかったんです。制作が進んで行く内に女性と見せかけるキャラクターの設定は無くなり、ピンク色の髪の毛のジェキが残りました。
三浦:あのピンクの髪の色、カッコイイですよね。
吉村:確か、他のキャラクターがみんなカラフルなので、残りの色味のチョイスが無かったんですよね。ヴァンパイアなので、ピンクの髪もアリだろう!と、薄い肌の色と合わせてイメージしました。
三浦:色味はすごくヒントになっていて、舞台版のアンサンブルの際にすごく参考にさせていただいています。
服もカッコイイし・・・・・・すみません、好き過ぎて。いや、みんな好きなんですけど!
でも、もしわたしが好き過るがゆえに「ジェキをもっと出そう!」とすると、メインキャラクターはもっと頑張らなくちゃいけなくなるので、いい刺激になるかなあ(笑)
吉村:さっきインタビューの前に少しお聴きしたのですが、今回はジェキの歌もあるんですよね!
三浦:そうなんです!「妖艶なイメージ」でお願いさせていただきました。「憎たらしいわ~!」と言う感じになっていると思います(笑)
わたしみたいに「ジェキにならついて行っちゃうかも」というお客様も何人か居て欲しいな~と思って。
吉村:アニメだと、ジェキのストーリーを余り掘り下げられなかったのですが、掘り下げると本当はすごく良いキャラクターなんです。なので、絶対面白いはずですよね。
ゲームでも恋愛対象のひとりとして入れてもらいたい位の良いキャラクターだと思うんです。なのでミュージカル版をキッカケに人気が出てくれれば嬉しいですね!
三浦:アニメ観てても、後半「あれ?こいつめっちゃ良い奴なんじゃ・・・・・・?」と思う位でしたよね。
(BGMとしてジェキの曲が流れて来る)
吉村:ああ!この曲ですね!
三浦:そうなんです。妖艶な感じです。
あとは敵チームは敵チームとしての動きを付けたり、振り付けの差を出していこうと考えています。
吉村:今回は誰が悪役なんですか?ネスタ様なんですか?
三浦:ネスタ様です!
マキシス様もアーロンド家も勿論存在はしているんですが、今回はネスタ様に立ち向かって行く形にさせていただきました。あとは舞台版の新キャラクターも観ていただけると嬉しいです!
吉村:衣装はアニメ版と同じなんですか?
三浦:そうなんです。
吉村:すごい!(ジェキのイラストを見ながら)あの"ブラ仮面"も?
三浦:そうです(笑)
吉村:あのマスク、「おしゃれ泥棒」のマスクを参考にしたんですが、すっかり”ブラ仮面”と呼ばれて・・・・・・(笑)
三浦:お聞きしたかったのですが、メィジはどうして肩を出しているんですか?肩を出しているので、ダンスの時に腕が上がるか確認していて、「そう言えばどうして肩を出しているんだろう・・・・・・」ってキャスト同士で話題になって(笑)
吉村:(笑)あれは、なんでだろう。原案からずっと肩を出しているんですよね……。
三浦:そうなんですね。
吉村:ちゃんと校章は付けているのに、肩は出したいんだね(笑)でも、肩を出す事によって個性が出ていて良いですよね。白い人と、ツノの人もいて。
三浦:そうですね!(笑)
吉村:でも筋肉バカではないので、Rejetの岩崎さん(原案)いわく、筋肉アピールでは無いとのことなんですよね~。
―― Rejetの原案があって、アニメ版でキャラクターを掘り下げて、舞台版で更に掘り下げる形になるんですね。
三浦:プレッシャーです・・・・・・。
吉村:元々はゲーム版とは違うラインで行きましょうというお話で進んではいたので、最初にRejetさんからいただいていた原案と比べると、アニメ版は少女漫画よりなお話になっていると思います。原案はもっとサイコ・サスペンスやホラーのような、よりダークな色の強い物だったんです。それが、ゲームのシナリオより先にアニメのシナリオが出来上がって行くにつれ、徐々にゲームの方も少女漫画の要素に寄せてくださったりして。
ただ、意識としては「ゲーム版とアニメ版は違うラインの物」なので、ゲーム版を遊んでいただく方もそれぞれの違いを感じてくださるんじゃないかな、と思います。
なので、舞台版も違っても良いと思うし、ゲーム版、アニメ版、舞台版とそれぞれ違う良さが楽しめたらそれもいいんじゃないかな?と思います。
アニメでも「イイのかな?」と思うくらい振り切ったキャラクターにしていたりしますよ。なので、ジェキもそうだし、メインのキャラクターも新しいキャラクターも、舞台版ではどうなるのかすごく楽しみです!
三浦:ありがたいです。勇気が出ました。
今回はアニメ版を元に舞台化しているので、場面の描写に差はあれどキャラクターの設定だけは確実に合わせようと作っているんです。
吉村:キャラクター的に誰が一番演じにくいとかあるんですかね?
三浦:多分、実際の役者さんと離れていると言う意味であれば、シキではないでしょうか?
台本上ではアニメ版と同じように「フフフ」と書いてあるんですが、今日稽古で音を出さないで笑っていて。「そこは出して行こう!」って話をしてみたりとか・・・。「(マイク)オンにして笑うから怖いんだよね」とか、そういう話をしています。
なので、多分シキが一番、遠そうな感じですね。
―― 中々シキみたいな人もいないですしね。
吉村:きもちわるい(褒め言葉)
一同:(笑)
三浦:アニメ版だとリンドがエプロンしているじゃないですか。今回は舞台上にリツカが登場しないしキッチンも無いので、エプロンのシーンは出て来ないかもしれないんですけど、舞台版では“そういう事しちゃうリンド”を表すシーンを別で出来れば良いなと考えています。“素でそういうことやっちゃうリンド”みたいな。クールな顔してかわいいというか、「えっ?」って感じのことを普通にしちゃう。
―― アニメのエプロンに代わる何かがあるのですね!
三浦:そうですね。
アニメ版の各キャラクター“らしさ”を舞台ならではの方法で表現出来ればと思っています。メインキャラクターの人気ぶりを表すためのアンサンブルも色々な組み合わせでお見せして行くので、注目していただけると嬉しいです。
―― キャラクターの掘り下げと言えば、舞台版では限られた話数のアニメ版で書き切れなかったシーンも登場するかも知れませんね!吉村監督が「ここをもっと書きたかった」と言うシーンがあればぜひ教えていただけますか?
吉村:以前他のインタビューでもお話しさせていただいたのですが、ジェキのキャラクターの掘り下げと、ローエンの人間バージョンで他のキャラクターとのコミカルな絡みを書けていなかったので、そこをもっと書きたかったです。
犬バージョンの時は、シキにいじめられたりしてキャンキャン吠えたり・・・・・・。
三浦:今日の稽古でちょうどそのシーンを再現していました!
吉村:ローエンは人間になるとちょっと厭味ったらしいキャラクターなんですけど、犬の姿で吠えているのは実は“厭味が止まらない”と言う感じだったりして。人間の姿でシキとのやり取りをする時に、吠える代わりにずっと厭味を被せて行く・・・・・・みたいな感じとか出来るかな~と思ったりしていたんですよね。
小さい犬で低い声は出ないのでキャンキャン吠えてるんですけど・・・・・・アニメでは結構二面性があるキャラクターなんですよね。あんなにかわいくキャンキャン吠えてたのに、人型になると厭味ったらしい、みたいな。
三浦:すごく良いヒントをいただきました!
今、稽古場では内藤さん(ローエン役)がキャンキャン言ってくれています。こっちは音を入れておこうかと思っていたんですけど、実際吠えてくれているので、そのままにしてみようと・・・・・・(笑)
吉村:かわいいかもしれない。
※実際に舞台中のポメラニアンの鳴き声(録音含)はすべて内藤さんが担当されています
―― 実はそのお話をお聞きしていたので、舞台版の台本にローエンやジェキの出番もたくさんあるのを見てすっかり内容をお2人で話し合って決めていたのかと思っていたのです。
きっとアニメを見ていて吉村監督のメッセージが三浦さんに届いたんですね。
三浦:私が勝手にアニメを見て、こう言うところが面白い!と思ったところを繋げていって・・・・・・でも、わたし1人だけではなく、もっとたくさんの方に手助けしていただいて・・・・・・アニメのプロデューサーさんとの勉強会も開いていただいたんですよ。塾に通っている感覚で。
制作P:アニメアフレコの一番最初に、吉村さんからキャストさんに「このキャラクターはこういうキャラクターです」という説明をいただいたのですが、その時の模擬みたいな物をやらせていただきました。
三浦:それで新しく分かった事もたくさんありました。
アクマの中でも割れていて、ヴァンパイアもいて、敵も1対1ではないし、メインキャラクター6人も仲が良いわけでもなくて、皆別々の方向を向いている。それを今回セットにも反映しました。
吉村:おお!
三浦:それぞれの道が全てリツカに繋がっているけれど、6人が別々の方向に向いているという考えです。6人の関係性はすごくヒントになりました。思考が決して交わらないという点を最大限に生かしました。
一種のミステリーでもある気がしているんですよね。レムはリツカを取るのか、殺してしまうのか、どこを目標にするのか自分で決めなければいけない。運命を描いているお話だと考えていて、そこを上手く舞台版として描けるように考えています。
―― 今回初めて実際にお会いして、お互いに制作スタッフの方が似ているとおっしゃっていたようなバイブスを感じましたか?
吉村:年齢的に同じ年なんですよね。
三浦:本当だ、そうなんですね!花の79年(笑)
吉村:とっても親近感が湧いています。
三浦:すごいですね、あのアニメを同じ年の方が作っていたなんて。それはすごく自信になります。
―― まだ知らない共通点がたくさんありそうですね。ルーツなど、近い物もあるかもしれませんね。
三浦:最初に企画書をいただいた時に、「エリザベート」と“2.5次元ミュージカル”の文字を見て、その時は「なるほど!」と思いました。それをどう形にするかは難しいところではあるんですけど・・・・・・。
以前担当させていただいたミュージカルは戦いで表現していたのですが、「ダンデビ」は愛に向かって行く作品なので、そこをどう表して行くかはとても楽しませていただいています。そこのバイブスは受け取りました。言葉にするのが難しいんですけど……バイブスなんで(笑)
受け取ったバイブスを上手く舞台で表せるように頑張ります。共通点はこれからご飯などご一緒させていただいて探します!
吉村:お願いします!(笑)
―― 最後に、三浦さんには今回の舞台の見どころを、吉村監督には舞台版で楽しみにされている点を教えてください。
三浦:アニメ版に無いオリジナルストーリーの部分や、アンサンブルにも役があって、學園の生徒だったりするんですが、それによってメインキャラクターが引き立つことや、そのアンサンブルが動くことによって、いかにレムが笑わないように頑張るところとか、生身の人間ならではの勝負もぜひ見ていただきたいと思います。
一番の見どころは舞台ならではのダンスです!「Dance with Devils」と言うタイトルだけに、曲数も通常より多く、色々なジャンルのダンスが登場したり、ダンスにはとてもこだわっています。ほとばしる汗を見てください!
吉村:リツカちゃんが舞台上に登場しないとお聞きしたので、どうストーリーに絡んで行くのかとても楽しみです!
ミュージカルが大好きなので、歌とダンス含め、アニメ版で出来なかった部分がどう再現されるのかも楽しみです。本編でもアンサンブルを出したかったのですが、出せるシーンが限られてしまって登場させられなかったので・・・・・・。
アンサンブルはとても好きな部分なので、ちゃんとした舞台で拝見出来るのがとても楽しみです!
―― ありがとうございました!
こちらを読んでから本編をご覧いただくと、よりお楽しみいただけること間違いなし!!
好評配信中!→http://dwd-stage.com/news/detail.php?id=1034569
******************************
吉村 愛(以下 吉村):アニメ版監督の吉村です。よろしくお願いします。
三浦 香(以下 三浦):舞台版脚本・演出の三浦です。よろしくお願いします。緊張しています・・・・・・。
吉村:(笑)
―― お二人は本日初対面なんですね。
吉村:そうなんです!初対面なんです。
別の共通のスタッフが先に三浦さんにお会いしていて、結構ファンキーな方だとお聞きしていて・・・・・・。
三浦:そうかも知れないです!
吉村:「ファンキーな吉村監督ときっと気が合いますよ!」と紹介してもらって、ぜひお会いしたかったんです。
きっと、とても大好きになると思っています!
―― 今回、「Dance with Devils」(以降「ダンデビ」)の舞台化が決定し、三浦さんが脚本・演出のご担当に抜擢されたんですよね。アニメ版を観てどのような印象を受けられましたか?
三浦:舞台より先にアニメでミュージカルが作られているという、順番が入れ替わっている感じが新鮮でした。曲調もいわゆるオーケストラではなく、ロックな感じの物もあったり、盛りだくさんで面白かったです。
アニメの内容ももちろんなのですが、「ここは舞台でこうしよう!」と、舞台での演出をリンクして考えるのも本当に楽しい作品だと思いました。
―― 稽古3日目の雰囲気はいかがですか?
三浦:まだ始まったばかりなのですが、キャスト全員がアニメのキャラクターのイメージをしっかり持っています。
生身の人間同士ならではの難しい部分ではあるのですが、アニメ版で声優さんが出されるテンポ感と、舞台上で実際に動きながら話すものとは少し息が違って来るので、まずは会話シーンを徹底して、テンポ感を掴むようにしてもらっています。
―― キャスト同士でも、キャラクターを膨らませているんですね。
三浦:そうですね。今回は初めて演出する方が多いので、今はそれぞれの中で各キャラクターを膨らませてもらっている段階です。舞台版のオリジナルキャラクターについては、先に演出をつけて考えてもらっています。
―― お客様もお気に入りのキャラクターがいらっしゃる場合が多いですし、大切にしたい部分ですよね。
三浦:そうなんです。
声を似せると言うことではなく、気持ちの部分でよりキャラクターに近くなるよう、キャストには頑張ってもらっています。「気高くあれ、レム!」みたいな。なので、キャストは大変だと思います(笑)稽古初日の顔合わせでも、自分にも品が無いのはさて置いて、「品が無い人はいりません!」と伝えさせていただきました(笑)
あとはショーアップに注力しています。普通のミュージカルだともっと曲数が少ないことが多いのですが、今回はかなり曲数も多いので・・・・・・。
吉村:多いんですね!
三浦:そうなんです。アンサンブル達は大変です。
今(稽古3日目の段階では)、アンサンブル達には練習用強化メニューとして、「この歌詞を自分ならどう踊るか」と、歌詞の意味を考えた上で、本番用の振り付けとは別で各自オリジナルの振り付けを作って、その“絶対に本番で踊らない振り”を練習させると言う、鬼訓練をしてもらっています。
ミュージカルアニメと言う新しいジャンルの舞台化ですし、お客様もイメージを持っていらっしゃると思うので、ダンスはミュージカルの骨頂として、盛り上げて行きたいですね。いつも踊りがあると鬼になっちゃうんです・・・・・・。
吉村:(笑)
―― 吉村監督は元々ミュージカルがお好きで、アニメ版「ダンデビ」を“ミュージカルアニメ”にすると言うアイディアも監督が発端だったんですよね。
吉村:そうなんです。以前からアニメーションの中でミュージカルをやってみたかったんです。最初に「ダンデビ」のお話をいただいた時、企画の段階で、展開の視野の中のひとつにミュージカルもあったんです。「じゃあそのまま実現しちゃえばいいじゃん!」と思い立った所から、ミュージカルアニメとしての「ダンデビ」が始まりました。時期的に「アナと雪の女王」のヒットもありましたし、「まだ30分枠のアニメでミュージカルって無いな」と思って。
音楽物のアニメは結構あったのですが、ミュージカルになっている物は無い。「やるなら今しかない!」と、身を前に乗り出しました(笑)ちょうど同じタイミングでミュージカルアニメが他に何本か動いていると言うお話も耳に入って来て、「早くやらねば!」と言う勢いで動いていましたね。
―― そうだったんですね。アニメーションでミュージカルを再現するにあたり、特に注意や工夫をした点はありましたか?
吉村:私自身はミュージカル好きなんですけど、同じくお芝居を観に行かれる方でも、ミュージカルに関しては好きな子もいれば苦手な子もいるというイメージがありました。なので、「どうやって苦手な子にも観てもらおう」と考えていました。
個人的にはオーケストラを使用したミュージカルも大好きなのですが、「ダンデビ」の場合は「エリザベート」のようなビッグミュージックの“本格ミュージカル”と“2.5次元ミュージカル”の間を行ったり来たりするのがイメージに近いのかな、と思い、練り込んでいきました。
2.5次元ミュージカルは題材がゲームやアニメが主だと言う事もあって、アニメファンにとって魅力的なキャラクターが沢山出てくる作品が多いなと感じていて、この作品もそんな風にミュージカルを好きになるキッカケになってくれたらいいな、と考えていました。
楽曲も、仰々しいミュージカル曲と言うよりは、2.5次元感のあるキャッチーな方が近いかと思い、そのイメージで楽曲を作っていただきました。なので、2.5次元ミュージカルに触れた事のある方であれば、馴染み深い曲調かな、と思います。
三浦:そうですね!
吉村:映像側の演出は、舞台の表現をそのままアニメで再現するのが難しい部分もあるのですが、「逆に舞台では出来ない事をやってやろう!」と考えながら作りました。
―― 三浦さんは今まで、正にその“2.5次元ミュージカル”を手掛けていらっしゃったんですよね。今回“ミュージカルアニメ”を舞台化される際、特にこだわった点などあればぜひ教えてください。
三浦:まだ稽古3日目で膨らませている最中なのですが、今回の作品と今まで担当させていただいた2.5次元ミュージカルとの大きな差は、原作が漫画ではない事でした。
原作が漫画の場合は、読み進めて、コマ割りや間、キャラクターの描き方で作者の意図を汲み取り、そこを目指して表現していくんです。今回はミュージカルアニメが元なので、既にシーンが完成されていて更に歌もあるので、例えばレムの顔がアップになるシーンの迫力!などを読み取り、その迫力をどう舞台で表現するか考えていました。メィジが車でドライブしていたシーンから中華料理屋に移動したりとか、舞台だったらどうやって表現しよう、と考えたり(笑)
一番印象に残っているのは第三図書館で、サーチライトの演出を見て、「これは舞台っぽいぞ!」と思ったんです。これが舞台で出来たらお客さんも「おおっ!」と感じてくれるかなあ!と。
暗転の中、突然サーチライトが動き出して「なんだろう!」と思ったら、あの格好良い人たちがパパパッと登場する・・・・・・その感覚を絶対再現したい!と意気込んでいます!
吉村:楽しい!面白そうですね。
三浦:(アニメの演出を)全て忠実に再現するのは難しい部分もあるのですが、疾走感がある場面は、舞台でもその疾走感を大事に表現したいです。
―― ローエンが犬から人型に切り替わる、など、舞台版ではどうなるんだろう!と言う部分も楽しみですね。
吉村:わ!犬も登場するんですか!楽しみ!
三浦:脚本でも、アニメ版通りに「ローエンに変わる」と書いてから、自分で「・・・・・・どうするんだろう?」と思うんですけど、そういう脚本を先に書いておいた方が良い案が出るので。自分に優しく脚本を書いてしまうとつまらなくなってしまうので、無理なことを書いておいた方がいいなと。
自分に甘く、脚本に「(いい所で暗転)」と書いてしまったりしたのですが、そうすると突然スピード感が無くなってしまうんです。
後になって稽古で実践する時に、「誰だよコレ書いたの!」と思わず言ってしまい、「アンタだよ!」と演出助手からツッコまれたり・・・・・・。
吉村:(笑)
三浦:なので、この場面は舞台では再現出来ないだろうな、というところにもチャレンジして、新しく舞台版を作り上げて行きたいと考えています。
―― 今回の舞台の脚本は、アニメの脚本を見ながらに書かれたのですか?
三浦:そうです!上手く舞台らしさを出しつつ、アニメのシーンを再現出来るように頑張ります。
今回の舞台では、リツカは主役ではあるのですが、しゃべるリツカとしては登場しない作り方をさせていただきました。そこを上手く見せて行ければと考えています。
―― お客様にリツカの気分を味わっていただく感じになるんですね。
三浦:そう考えています!リツカはモチーフとしては舞台に登場するのですが、やっぱりみんな彼らに「好きだ」と言ってもらいたいよね!と言う思いからそのようにさせていただきました。
吉村:そうなんですね!楽しみです!
―― 今回は舞台終了後のカーテンコールが、通常のトークではなく“ミニコンサート”になるとの情報をお聞きしたのですが・・・・・・
吉村:すごい!
三浦:そうなんですよ!これは私が決めたアイディアではないのですが、そうなんです。本編もかなりの曲数があるのにまだ歌ってくれるんです!日替わりでキャストが歌ってくれます。
吉村:わああ!
以前別の作品のミュージカルを観に行った時、舞台が終わった後にライブを観せてくれた作品があってすごく面白かったんですよ。お客さんもペンライトを振ったりして。お話も観られて、ライブも観られて、2度おいしいって感じでした。
三浦:ミニコンサートは、わたしもキャストも客席から見たいと思っています(笑)
ダンスやアクション、照明も、優秀なスタッフが豪華にしてくれると信じています。
―― 楽曲も、発注はどのようにされていたのだろうと思うくらい、各キャラクター毎にまったく雰囲気もジャンルも違うキャラクターソングがありますね。
吉村:楽曲の発注については、以前、2.5次元ミュージカル作品を観劇させていただいた時に、色々な曲調の楽曲が登場した事が印象深かったので、「ダンデビ」でも楽曲でもそれぞれのキャラクターの個性を出すために曲調が絶対に似ないよう変えたいと思い、今回のようになりました。
王子様キャラだったり、オレ様キャラだったり、エロチックな人だったり、振り分けて行く中で各キャラクターの色もすごく違ってきて、この子はロックにしよう、この子はラップ、妖艶だからフラメンコチックにしよう、と。
シキは演歌にしたいな、なんて思ったこともありました。キャラソンで演歌ってあまり聴いたことないですよね(笑)
三浦:自分も2.5次元ミュージカル作品に携わって来たので、各キャラクターにはテーマソングがある事がとても自然な感覚でした。舞台を制作する時、自分が担当する作業も「このキャラクターはこう言う曲調で」と振って行くのは同じなので、その部分は似ているのかもしれませんね!
―― そうですよね。舞台を制作される時は、通常であれば三浦さんが楽曲を発注されているんですよね。
三浦:「発注しなくていいんだ!」と思いました(笑)
今回みたいに先に曲が準備してあるのは珍しいことなんです。最初は曲が無いので、吉村監督と同じように発注していくんですけど、演歌までは流石にやったことが無かったです(笑)
吉村:知り合いに2.5次元ミュージカルがすごく好きな子がいて、カラオケに行くと歌ってくれるんですよ。好きな作品の歌を一通り歌ってくれて、その中に演歌もあったりして、それもしっかり歌っていて。
「いや~、好きな人に響いたらこんなに幸せなことになるのか」と思いました。
自分自身が楽しみたい気持ちもあるんですけど、色んな曲を楽しんでもらいたいと感じました。
三浦:バランスですよね。全部同じ曲調が続くとお客様を飽きさせてしまったりして。今回の舞台には途中でメドレーも登場するのですが、その順番も、あまり似た物が続かないようにすることを大事にして、お客さんが盛り上がる曲を、最後のひとつ前にしたりして、最後は主役がキメるとか、セットリストで上手くメリハリをつけられるように気をつかっています。
今も稽古中に実際に当ててみて、途中で順番を変更したりしています。アンサンブルが登場する人数のバランスも見たりとか。
―― 本当にバラエティ豊かな曲調ですよね。
三浦:助かりました。「このキャラクターはこう言う雰囲気なのか」と、とても印象に残りました。
曲を聴きながら脚本を書くのですが、“VANQUISH”でオレ様の気分になりながら、とか、“誘惑♡amor”はウリエの気持ちになりながら、とか。分かりやすくて、舞台でもお客様にも伝わり易くてありがたいな、と思いました。
制作P:曲調は、吉村監督がとてもこだわって発注されてましたね。
吉村:そうですね。音楽に詳しいと言うわけではないので、注文させていただいた曲が届いてから、「いい曲上がって来た!」と感動しながらも、「頭の中のフラメンコとちょっと違った」とか「この曲とこの曲が少し似ている気がする」とか、思い描いていた物と印象に差があったら随時お伝えして、それを制作スタッフさんがさらに上手く言葉にしてElements Gardenの藤田さん(音楽プロデューサー)に伝えてくれていましたね。
普通にアニメを制作している時はこんな作業は入らないので、とても楽しかったです。楽曲に関わったとしても劇伴(BGM)位なので。劇伴も通常40~50曲位使うのですが、その曲数も大体「このシーンで使用します」と言うシチュエーションをお伝えしてざっくりとした雰囲気を発注することが多いんです。
監督によっては細かく指示を出される方もいらっしゃるのですが、私の場合は曲数も多いので1曲1曲こだわって発注するというより作品の世界観として発注させていただいて、楽曲のメニューを書いて発注してくださる音響監督さんが1曲1曲のバランスを上手い具合に調整してくださって詰めてくださることが多いです。なのでここまで直にやり取りさせていただくことはないので、とても面白かったです。
三浦:その劇伴達を稽古で早速使用させていただいています。発注の苦労をお掛けしてすみません、と思いながら・・・・・・。
歌に関してはピアノも使用して歌唱を強化してもらったりしています。
今日もアクションシーンから稽古したのですが、芝居をして、ダンスをして、歌、というフルメニューでした。
―― アニメだと1曲1曲がプロモーションビデオ(PV)のようになっていましたね。
三浦:PVがついているのは新しいと思いました。画面がパッパッと切り替わるので、ミュージカルだと全てその通りに再現するというわけにはいかないのですが。
吉村:「アナと雪の女王」の様な物が正当なミュージカルムービーだと思うのですが、30分アニメの場合はまた少し作り方が違ってきますので、同じようには出来ない部分が出て来ました。踊りも尺も制限があるので、その中でどう活かすか考えて、PVのような、ドラマ仕立てのミュージッククリップや、NHKの「みんなのうた」のようなお話に沿って映像を制作している作品をイメージしつつ、ダンサブルなカットチェンジにしてみるなど、映像を制作していきました。
―― 舞台だと、楽曲のシーンはメインキャラクター以外にもアンサンブルが登場されると思いますが、フラメンコやHiphopなど、曲調や楽曲のジャンルによってダンスのジャンルも変えていらっしゃるのでしょうか?
三浦:そうなんです!なのでアンサンブルも各ジャンルの担当の方がいらっしゃっています。
吉村:すごい!
三浦:アニメ版にはバックダンサーは登場しないので、舞台版ではアンサンブルが登場する事に対する意味付けも必要で。ヴァンパイアが踊るとしても、突然踊りだしたらよく分からないので、そこに意味をつけたり。
でも、シキに関しては、きっと1人で黙々と歌っていた方がいいんだろうな・・・・・・と思っています。光が差していて、その中で歌っている、みたいな(笑)イメージがしやすいので、助かっています。
制作P:偶然なのですが、年末のアニメ版のスペシャルコンサートでも完全に同じ形で、シキだけ1人でマイクで歌っていました。スモークが出ていて・・・・・・。
三浦:やっぱり(笑)
そこのイメージは変に捻らず、ドーンと行くのが「ダンデビ」らしくなるんじゃないかな?と思っています。本編後のミニコンサートでは、ちょっと遊んでもいいのかな?とは考えています。普段は見ることのないコラボレーションだったりとか。
吉村:楽しそう!
三浦:舞台も大きいので、活用していきたいと考えています。
―― アニメの監督に舞台の脚本・演出と、お互いのお仕事や進め方に共通点もありそうですね。
三浦:きっとあると思います!
仕事の仕方はもしかして似ているかも知れませんね。どうやって演出されているかはとても興味があります。
吉村:私も知りたいです!
三浦:私は生身の人間を前に演出していくので、相手の反応も確認しながら演出していくのですが、アニメだと声優さんは、動きも表情も既についているので、声のみで演技しなきゃならないし、監督と声優さんも録音する部屋と壁を挟んでいるので大変そうだなと思っていました。
吉村:アフレコの部分では、音響監督さんが間に入ってくれているので、うまく監督と声優さんのキャッチボールをしてくれるんです。なので、声優さんに一度テストで演技をしていただいて、画と雰囲気や表現の方向性に差があった場合はキャラクターの感情などリクエストをお伝えして、音響監督さんがうまく役者さんの引き出しを開けるお手伝いをしてくださっています。
アニメだと関わってくださる方が多いので、私はとても助かっています。
監督さんによっては全てご自身で担当される方もいらっしゃるのですが、私は自分で上手く説明しようとなると、伝えるために考え込んでしまうので、間に入ってくださる方にどんどん思いや雰囲気を説明させていただいて、頭の中のふわっとしたイメージを、もっとシャキッとさせて、それを伝えていただくと言うやり取りがすごく合っているので、とてもありがたいです。
―― 監督の頭の中のイメージをお伝えして、アフレコ現場で一緒にキャラクターを作り上げて行く感じでしょうか?
吉村:そうですね。頭の中のイメージもあるのですが、アニメの画が既にある場合が多いので、どちらかと言うとその画に合わせて近付けてもらう、と言う方が正しいかも知れません。
―― キャラクターソングの収録の際も、すでに画のイメージがあって、吉村監督が細かくご説明されていらっしゃいましたよね。
吉村:「シキは這い上がってくる様な感じで」とかでしたね。
三浦:そうなんですよね。もう、演出と言うのは"訳の分からない事を言う係"なんですよね。「何かヌルっとした感じでさー」とか・・・・・・それを解釈される方が優秀である事を願いつつ・・・・・・。
どうでもいい話で申し訳無いんですけど、私、昔4年間だけ声優をやっていた事があって・・・・・・。
吉村:えっ!そうなんですか!?
三浦:なので、現場に入っていた頃は監督がネスタ様の様に見えていました。監督は直でお話せず、ジェキみたいに音響監督の方がいて、その方とお話しするのですが、きっとネスタ様にはすごく言われているんだろうな・・・・・・と思っていました。
吉村:(笑)実際、結構言われる方もいらっしゃいますが、全く言われない方もいらっしゃいますよ。でも、ブース内のやり取りが聞こえないので、気にする役者さんは気にしちゃうかも知れませんね。
三浦:もう、あの部屋が怖くて!思い起こせば監督とお話するより、音響監督と話していました。
吉村:確かに、オーディションの時に結構熟考して役者さんを選ばせていただいているのに、その理由をお伝えさせていただく機会は余り無かったりするので、そう思われる事もあるかも知れないですね。
「ダンデビ」では、役者さんや音響監督さんと仲良くさせていただいているのですが、触れ合う機会の多いメインキャラクター以外の方とは、確かにそこまでお話する機会が無かったので、結構恐いイメージを持たれているのかな?と思うこともあります。
三浦:ネスタ様の仰せのままに、です。
―― 舞台では演出家と役者のダイレクトなやり取りなんですね。
三浦:そうですね。
でも、さっきも吉村監督がおっしゃっていた様に、私も説明すると言うよりは、思った事が先に口にポーンと出てしまうので、そこは似ているタイプなのかなと思いました(笑)段々バイブス見付けて来ました!
吉村:(笑)
三浦:自分が言われる立場だと、そっちの方が分かり易く感じるので……理論で言われると逆にパニックになってしまって、ドーンとかボーンとか伝えてもらった方が有り難いのでそれを実践しちゃっているのですが、役者さんによっては意味が分からなくてポカーンとしちゃいますよね、きっと。
―― そこのバイブスは同じなのかも知れませんね!
三浦:はい!きっとアニメ版と似た物が出来上がるのでは無いかと、少し自信になりました。
―― 差が出るのは良くないかとは思いますが、三浦さんのお好きなキャラクターをお聞きしてもよろしいですか?やはり好みはあるかと思いますので!
三浦:私は意外で申し訳無いのですが、ジェキが大っ好きで……。
吉村:おおー!一番おいしい役ですよね。
三浦:カッコイイと思います!
ジェキの髪の色が気になっていて・・・・・・あれはピンク?緑?変わるんですか?
吉村:マスクをしている時は緑の髪の色が多くて、マスクを取ったら髪の色がピンクなんです。キャラクターデザインの前田さんいわく、内側の毛が緑色で、マスクをしているシーンでは緑色の毛を出していて、ピンク色に見える時は外側のピンク色の毛で、内側の緑色の毛を隠しているそうです。
ジェキの登場シーンを設定する時に、最初に「女性と見せかけるキャラクターとして登場させよう」と話していて、マスク着用時と外した時で違うキャラクターとして見せたかったんです。制作が進んで行く内に女性と見せかけるキャラクターの設定は無くなり、ピンク色の髪の毛のジェキが残りました。
三浦:あのピンクの髪の色、カッコイイですよね。
吉村:確か、他のキャラクターがみんなカラフルなので、残りの色味のチョイスが無かったんですよね。ヴァンパイアなので、ピンクの髪もアリだろう!と、薄い肌の色と合わせてイメージしました。
三浦:色味はすごくヒントになっていて、舞台版のアンサンブルの際にすごく参考にさせていただいています。
服もカッコイイし・・・・・・すみません、好き過ぎて。いや、みんな好きなんですけど!
でも、もしわたしが好き過るがゆえに「ジェキをもっと出そう!」とすると、メインキャラクターはもっと頑張らなくちゃいけなくなるので、いい刺激になるかなあ(笑)
吉村:さっきインタビューの前に少しお聴きしたのですが、今回はジェキの歌もあるんですよね!
三浦:そうなんです!「妖艶なイメージ」でお願いさせていただきました。「憎たらしいわ~!」と言う感じになっていると思います(笑)
わたしみたいに「ジェキにならついて行っちゃうかも」というお客様も何人か居て欲しいな~と思って。
吉村:アニメだと、ジェキのストーリーを余り掘り下げられなかったのですが、掘り下げると本当はすごく良いキャラクターなんです。なので、絶対面白いはずですよね。
ゲームでも恋愛対象のひとりとして入れてもらいたい位の良いキャラクターだと思うんです。なのでミュージカル版をキッカケに人気が出てくれれば嬉しいですね!
三浦:アニメ観てても、後半「あれ?こいつめっちゃ良い奴なんじゃ・・・・・・?」と思う位でしたよね。
(BGMとしてジェキの曲が流れて来る)
吉村:ああ!この曲ですね!
三浦:そうなんです。妖艶な感じです。
あとは敵チームは敵チームとしての動きを付けたり、振り付けの差を出していこうと考えています。
吉村:今回は誰が悪役なんですか?ネスタ様なんですか?
三浦:ネスタ様です!
マキシス様もアーロンド家も勿論存在はしているんですが、今回はネスタ様に立ち向かって行く形にさせていただきました。あとは舞台版の新キャラクターも観ていただけると嬉しいです!
吉村:衣装はアニメ版と同じなんですか?
三浦:そうなんです。
吉村:すごい!(ジェキのイラストを見ながら)あの"ブラ仮面"も?
三浦:そうです(笑)
吉村:あのマスク、「おしゃれ泥棒」のマスクを参考にしたんですが、すっかり”ブラ仮面”と呼ばれて・・・・・・(笑)
三浦:お聞きしたかったのですが、メィジはどうして肩を出しているんですか?肩を出しているので、ダンスの時に腕が上がるか確認していて、「そう言えばどうして肩を出しているんだろう・・・・・・」ってキャスト同士で話題になって(笑)
吉村:(笑)あれは、なんでだろう。原案からずっと肩を出しているんですよね……。
三浦:そうなんですね。
吉村:ちゃんと校章は付けているのに、肩は出したいんだね(笑)でも、肩を出す事によって個性が出ていて良いですよね。白い人と、ツノの人もいて。
三浦:そうですね!(笑)
吉村:でも筋肉バカではないので、Rejetの岩崎さん(原案)いわく、筋肉アピールでは無いとのことなんですよね~。
―― Rejetの原案があって、アニメ版でキャラクターを掘り下げて、舞台版で更に掘り下げる形になるんですね。
三浦:プレッシャーです・・・・・・。
吉村:元々はゲーム版とは違うラインで行きましょうというお話で進んではいたので、最初にRejetさんからいただいていた原案と比べると、アニメ版は少女漫画よりなお話になっていると思います。原案はもっとサイコ・サスペンスやホラーのような、よりダークな色の強い物だったんです。それが、ゲームのシナリオより先にアニメのシナリオが出来上がって行くにつれ、徐々にゲームの方も少女漫画の要素に寄せてくださったりして。
ただ、意識としては「ゲーム版とアニメ版は違うラインの物」なので、ゲーム版を遊んでいただく方もそれぞれの違いを感じてくださるんじゃないかな、と思います。
なので、舞台版も違っても良いと思うし、ゲーム版、アニメ版、舞台版とそれぞれ違う良さが楽しめたらそれもいいんじゃないかな?と思います。
アニメでも「イイのかな?」と思うくらい振り切ったキャラクターにしていたりしますよ。なので、ジェキもそうだし、メインのキャラクターも新しいキャラクターも、舞台版ではどうなるのかすごく楽しみです!
三浦:ありがたいです。勇気が出ました。
今回はアニメ版を元に舞台化しているので、場面の描写に差はあれどキャラクターの設定だけは確実に合わせようと作っているんです。
吉村:キャラクター的に誰が一番演じにくいとかあるんですかね?
三浦:多分、実際の役者さんと離れていると言う意味であれば、シキではないでしょうか?
台本上ではアニメ版と同じように「フフフ」と書いてあるんですが、今日稽古で音を出さないで笑っていて。「そこは出して行こう!」って話をしてみたりとか・・・。「(マイク)オンにして笑うから怖いんだよね」とか、そういう話をしています。
なので、多分シキが一番、遠そうな感じですね。
―― 中々シキみたいな人もいないですしね。
吉村:きもちわるい(褒め言葉)
一同:(笑)
三浦:アニメ版だとリンドがエプロンしているじゃないですか。今回は舞台上にリツカが登場しないしキッチンも無いので、エプロンのシーンは出て来ないかもしれないんですけど、舞台版では“そういう事しちゃうリンド”を表すシーンを別で出来れば良いなと考えています。“素でそういうことやっちゃうリンド”みたいな。クールな顔してかわいいというか、「えっ?」って感じのことを普通にしちゃう。
―― アニメのエプロンに代わる何かがあるのですね!
三浦:そうですね。
アニメ版の各キャラクター“らしさ”を舞台ならではの方法で表現出来ればと思っています。メインキャラクターの人気ぶりを表すためのアンサンブルも色々な組み合わせでお見せして行くので、注目していただけると嬉しいです。
―― キャラクターの掘り下げと言えば、舞台版では限られた話数のアニメ版で書き切れなかったシーンも登場するかも知れませんね!吉村監督が「ここをもっと書きたかった」と言うシーンがあればぜひ教えていただけますか?
吉村:以前他のインタビューでもお話しさせていただいたのですが、ジェキのキャラクターの掘り下げと、ローエンの人間バージョンで他のキャラクターとのコミカルな絡みを書けていなかったので、そこをもっと書きたかったです。
犬バージョンの時は、シキにいじめられたりしてキャンキャン吠えたり・・・・・・。
三浦:今日の稽古でちょうどそのシーンを再現していました!
吉村:ローエンは人間になるとちょっと厭味ったらしいキャラクターなんですけど、犬の姿で吠えているのは実は“厭味が止まらない”と言う感じだったりして。人間の姿でシキとのやり取りをする時に、吠える代わりにずっと厭味を被せて行く・・・・・・みたいな感じとか出来るかな~と思ったりしていたんですよね。
小さい犬で低い声は出ないのでキャンキャン吠えてるんですけど・・・・・・アニメでは結構二面性があるキャラクターなんですよね。あんなにかわいくキャンキャン吠えてたのに、人型になると厭味ったらしい、みたいな。
三浦:すごく良いヒントをいただきました!
今、稽古場では内藤さん(ローエン役)がキャンキャン言ってくれています。こっちは音を入れておこうかと思っていたんですけど、実際吠えてくれているので、そのままにしてみようと・・・・・・(笑)
吉村:かわいいかもしれない。
※実際に舞台中のポメラニアンの鳴き声(録音含)はすべて内藤さんが担当されています
―― 実はそのお話をお聞きしていたので、舞台版の台本にローエンやジェキの出番もたくさんあるのを見てすっかり内容をお2人で話し合って決めていたのかと思っていたのです。
きっとアニメを見ていて吉村監督のメッセージが三浦さんに届いたんですね。
三浦:私が勝手にアニメを見て、こう言うところが面白い!と思ったところを繋げていって・・・・・・でも、わたし1人だけではなく、もっとたくさんの方に手助けしていただいて・・・・・・アニメのプロデューサーさんとの勉強会も開いていただいたんですよ。塾に通っている感覚で。
制作P:アニメアフレコの一番最初に、吉村さんからキャストさんに「このキャラクターはこういうキャラクターです」という説明をいただいたのですが、その時の模擬みたいな物をやらせていただきました。
三浦:それで新しく分かった事もたくさんありました。
アクマの中でも割れていて、ヴァンパイアもいて、敵も1対1ではないし、メインキャラクター6人も仲が良いわけでもなくて、皆別々の方向を向いている。それを今回セットにも反映しました。
吉村:おお!
三浦:それぞれの道が全てリツカに繋がっているけれど、6人が別々の方向に向いているという考えです。6人の関係性はすごくヒントになりました。思考が決して交わらないという点を最大限に生かしました。
一種のミステリーでもある気がしているんですよね。レムはリツカを取るのか、殺してしまうのか、どこを目標にするのか自分で決めなければいけない。運命を描いているお話だと考えていて、そこを上手く舞台版として描けるように考えています。
―― 今回初めて実際にお会いして、お互いに制作スタッフの方が似ているとおっしゃっていたようなバイブスを感じましたか?
吉村:年齢的に同じ年なんですよね。
三浦:本当だ、そうなんですね!花の79年(笑)
吉村:とっても親近感が湧いています。
三浦:すごいですね、あのアニメを同じ年の方が作っていたなんて。それはすごく自信になります。
―― まだ知らない共通点がたくさんありそうですね。ルーツなど、近い物もあるかもしれませんね。
三浦:最初に企画書をいただいた時に、「エリザベート」と“2.5次元ミュージカル”の文字を見て、その時は「なるほど!」と思いました。それをどう形にするかは難しいところではあるんですけど・・・・・・。
以前担当させていただいたミュージカルは戦いで表現していたのですが、「ダンデビ」は愛に向かって行く作品なので、そこをどう表して行くかはとても楽しませていただいています。そこのバイブスは受け取りました。言葉にするのが難しいんですけど……バイブスなんで(笑)
受け取ったバイブスを上手く舞台で表せるように頑張ります。共通点はこれからご飯などご一緒させていただいて探します!
吉村:お願いします!(笑)
―― 最後に、三浦さんには今回の舞台の見どころを、吉村監督には舞台版で楽しみにされている点を教えてください。
三浦:アニメ版に無いオリジナルストーリーの部分や、アンサンブルにも役があって、學園の生徒だったりするんですが、それによってメインキャラクターが引き立つことや、そのアンサンブルが動くことによって、いかにレムが笑わないように頑張るところとか、生身の人間ならではの勝負もぜひ見ていただきたいと思います。
一番の見どころは舞台ならではのダンスです!「Dance with Devils」と言うタイトルだけに、曲数も通常より多く、色々なジャンルのダンスが登場したり、ダンスにはとてもこだわっています。ほとばしる汗を見てください!
吉村:リツカちゃんが舞台上に登場しないとお聞きしたので、どうストーリーに絡んで行くのかとても楽しみです!
ミュージカルが大好きなので、歌とダンス含め、アニメ版で出来なかった部分がどう再現されるのかも楽しみです。本編でもアンサンブルを出したかったのですが、出せるシーンが限られてしまって登場させられなかったので・・・・・・。
アンサンブルはとても好きな部分なので、ちゃんとした舞台で拝見出来るのがとても楽しみです!
―― ありがとうございました!